なのはが久しぶりに海鳴に一人で帰ってくる。そう聞いたとき、私は嬉しかった。なのはと会うのは一年ぶりくらいだった。最後に会ったときは、何かはやてがつくった部隊が任務できたときだ。そのときはなのはは任務だし、それに他にも人がいた。だから二人きりで会えるのは本当に久しぶりだった。なのはにはヴィヴィオという子どもが出来たと聞いていたが、そのヴィヴィオは用事があってこちらにくることはできないらしい。
私は今、家でなのはが来るのを待っている。本当はなのはから連絡がきたとき、迎えに行こうかと言ったのだが、なのはがいいよ、アリサちゃんは家で待っててと言ってきたのでのなのはの到着を待っている。なのはが好きだった紅茶とお菓子も準備した。本当は、すずかも誘ったのだけれどすずかはちょうど用事で来れなかった。私はすずかの返事を聞いたとき密かに二人きりになれるのを喜んだ。すずかには悪いが二人きりで会いたいと思っていたから。なのはと私は恋人と呼ばれるような関係だったから。
私となのはが恋人になったきっかけは私たちが小学校四年のときに私がなのはに告白したからだ。三年のときに私たちの中にフェイトとはやてが加わって五人で過ごして行くうちにみんながなのはのことを好きだというのがわかった。私はなのはが他の人にとられるのは嫌だった。特に私と一緒になのはと友達になったすずかはともかく、後から入ってきたフェイトやはやてにはとられたくなかった。しかも二人は魔法という世界の私が知らないなのはを知っていた。だから余計に。
なのはに告白したのは、私の家で二人のときだ。他の三人は用事で家に来れなかった。そのときにチャンスだと私は思った。学校では特にフェイトがなのはから離れなかったし、魔法の仕事をしているなのはは学校にこないことも多くなっていた。
「私、なのはのことが好きなの。私と付き合ってほしい」
「ごめん、アリサちゃん。私まだ、そういうのよくわからないの」
予想通りの反応が返ってきた。なのはがそういうことに鈍いのはよくわかっていたから。正直な話、私のなのはに対する好意が伝わってなくても仕方ないと思った。何故なら、私は恥ずかしさやいろいろなことからなのはへの好意を上手く表せていなかったから。フェイトの傍から見ればすぐわかるような好意にも気づいていないなのはが気づいているとは思わなかった。
「私は、なのはが好き。よくなのはとフェイトがくっついているのを邪魔したりしたのはフェイトに嫉妬していたから。後から来た人になのはを渡したくなかったから。なのはは、私のこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ、好きだよ。でもそれがアリサちゃんの言っている好きと一緒かがわからないの」
「じゃあ、試しに私と付き合ってみるっていうのはどう?それでもし私たちの気持ちが違えば別れればいい」
こうして、強引になのはと付き合い始めた半年後、私はなのはに告白されて正式に付き合い始めた。その間にはいろいろななのはの奪い合いがあったのだけど、それも今となっては良い思い出だ。フェイトとかはやては未だに諦めてないみたいだけど。多分、すずかも。すずかは私たちの中で一番策士だったから。
なのはが事故にあった後、私はなのはに魔法を使うのをやめてくれと頼んだ。
「なのは、お願い。魔法を使うのはもうやめて。私はもうなのはが私の知らないところで傷つくのはもう嫌なの」
「ごめん、アリサちゃん。それはできないんだ」
「どうして?」
「私の魔法で助かる人がいるなら助けてあげたい。私の力を必要とする人がいるならその人のために使いたいんだ。それとやっぱり、空が好きだからかな。まだ、空を諦めるなんてできないよ」
それを聞いたときになんともなのはらしい理由だと思ってしまった。それに、空を飛んでいるなのはを見たときに本当に楽しそうに飛んでいたから。空はなのはの居場所だと思ってしまったのも事実だったから。だから恋人としては無理にでもやめさせたかったが、そう思ってしまったのでそれ以上は強く言えなかった。
中学を卒業してなのはがミッドチルダに行くときも本当は止めたかったがなのはが夢に向かっていくのを止めることはできなかった。私にも魔法が使えたらそう思ったことは何度もあったが結局は私は地球からなのはの無事を祈ることしかできなかった。
「アリサちゃん、久しぶり。元気だった?」
「元気だったわよ。それよりも、私だけで悪かったわね。すずかにも会いたかったでしょ?」
「確かに会いたかったけど、私はアリサちゃんと二人きりになれて嬉しいよ。アリサちゃんは?」
とわかったような顔で聞いてくる。
「私は別に二人きりじゃなくても……」
告白前もよくそっけない態度をとってしまった私だが、今もよくそのような態度をとってしまう。でも、なのははそれをわかっているようで
「アリサちゃんは素直じゃないんだから。でも、私はアリサちゃんのそういうところも好きだよ」
なんて笑顔で言ってくる。私はその顔を見て、可愛いと思ったし、本当になのはが無事で帰ってきたことが嬉しかったが、そのことは言ってやるもんかと思った。

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