「それじゃあな、灰原」
「ええ、それじゃあ」
「貴方そろそろ出てきた方がいいんじゃない?」
「あはは、やっぱり気づいてたんだ?」
私は工藤君と別れた後、学校を出てからずっとついてきている人物に声をかけた。
そして電信柱の影から出てきたのは予想通りというか何というか……怪盗KIDこと黒羽快斗だった。
「全く、何のつもりかしら?そんなに私が信用できない?というか、天下の大泥棒さんが昼間から小学生をつけ回してると知ったら世間はどうなることやら……」
「そうじゃないんだけど、今日は半日で授業が終わったから気になって」
「まあ、良いけど。この情報をくれたのは貴方だし、それに私もこんなんじゃどこまで出来るかわからないしね。じゃあ、行きましょうか」
そう言って、私たちはついさっき別れた工藤君を追いかけた。
事の始まりは1週間前の彼、KIDの犯行のあった翌日の彼からの連絡だった。
「工藤君が誰かにつけられてる?」
「そうなんだ。昨日現場から帰る名探偵が心配で見ていたら、誰かがずっと名探偵をつけてたんだよ。名探偵が探偵事務所に入った後もずっと覗いてたから捕まえようとしたら気づかれて逃げられた」
「全く、どうしてもっと慎重にいかないの?わかったわ。こらからは学校帰りは私がしっかり見ててあげるから」
そんなことで、次の学校帰りからこうして工藤君をつけている怪しい人物を捕まえようとしているのだ。
工藤君は最近、これ以外にも後をつけられたり色々している。
学校では男女問わず人気がある彼はいろいろ贈り物をもらったり、告白を受けたりしている。
「それで、犯人を捕まえたらどうするの?」
「そんなの決まってるじゃない。工藤君に手を出そうとしてるのよ、ただじゃすまさないわよ。まずは新薬の実験台になってもらおうかしら」
工藤君をどうにかしたいならまず、私たちの審査を受けてからじゃないとね、と彼に言うと彼もそうだね、と言って怪しい笑みを浮かべた。
そう、組織を工藤君やFBIなどと協力して壊滅させた後、私は今まで彼に守られてきたのだからこれからは私が彼を守ろうと誓った。そうしていたら、この白い泥棒さんもそれにのってきたのだ。
何故と聞いたら、
「俺も名探偵のこと好きだから」
と返ってきた。
まあ、貴方にも工藤君は渡さないけどね。
そうこうしているうちに探偵事務所の前まで来ていたらしい。
どうやら今日は現れなかったようだ。
私たちは彼が家に入っていくのを見届けて帰った。
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