-なのはのやつ、早く来なさいよ-
心の中でなのはに文句を言ってみてもそれでなのはが来るわけもなく、あたしはクリスマスの夜を一人で過ごしていた。
本当なら今日はなのはと二人で過ごすはずだった。
しかし、昨日なのはから
「ごめん、アリサちゃん。教導隊の人が怪我しちゃって急遽私が代わりに出ることになっちゃたの。せっかくひさしぶりに会えるはずだったのに。それに明日はクリスマスなのに……」
「何言ってんのよ。仕事じゃしょうがないじゃない。あたしのことは気にせずしっかりやりなさいよ」
「ほんとにごめんね。でも、教導が終われば行けるから終わったら連絡入れるね」
「わかったわ」
と連絡があったのだ。
なのはにはあのように言ったが本当はもっと言ってやりたかった。
なのはは悪くないのに。
でも、ほんとうにひさしぶりになのはと一日会えるはずだったのだ。
通信で話してはいるが、最後に直接あったのはかれこれ一年以上前だ。
去年はクリスマスにも会えなかったから今年はと思い、街で見つけたなのはに似合いそうなアクセサリーをプレゼントに買い、シャンパンや料理の用意していたのに。
たしかになのはがミッドチルダに行ってしまったとき、これからはそれほど会えなくなるんだなぁということは理解できた。
しかし、あたしとなのはは恋人同士なのだ。
出来る限り会いたいと、一緒にいたいと思ってしまうのは当然だろう。
仕事ではしょうがないのに。
しかもあたしは親が子どもの頃から忙しく、仕事の大変さというものがわかっていたのに。
それでも、
-何?あたしより仕事が大事なの?-
と思ってしまう。
なんてあたしは子どもなのだろう。
もう、23時を過ぎてしまった。
連絡はまだない。
こちらから連絡を入れようとも思ったが、仕事中だと迷惑になると思いこちらからはしていない。
もう寝てしまおうかと思ったとき、
“ピンポーン”
とチャイムがなった。
「ごめん、アリサちゃん。遅れちゃって」
「遅いわよ。でもちゃんと来てくれてよかった」
「ごめんね。本当はもっと早くこっちに来れるはずだったんだけど、教導の後反省会も含んだ食事会をやることになって。そこでいろいろあって、終わったあとすぐ家に帰って用意してきたんだけどこんな遅くなっちゃった。忙しくて連絡も入れ忘れちゃったし」
「いいわよ、もう。それより外寒かったでしょ?早く入りなさいよ」
ありがとう、と言って入ってきたなのはは本当に寒そうだった。
赤くなった手をこすり合わせて息をかけている。
「なのは、座って。乾杯しましょ」
あたしはなのはにそう言った。
あたしたちのクリスマスは始まったばかりなのだから。
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