今朝はいつもと違っていた。いつもは訓練場に着くとなのはさんとヴィータ副隊長がすでにいるのに今日はヴィータ副隊長だけだった。何かあったのかと思っているとなのはさんは風邪をひいて熱がある為、今日は休みらしい。本人は出てくる気満々だったらしいがヴィータ副隊長たちが38℃近い熱があるから無理やり休ませたらしい。なのはさんが出て来れないのは残念だがあの人にとっては良い機会なのでゆっくり休んでもらいたいと思った。
朝の訓練が終わり、休憩に入ったので朝食の前になのはさんの部屋に行って様子を見ることにした。部屋の前で呼び掛けるが返事がないので中に入ると、なのはさんはベッドで寝ていた。額に手をのせるとやはり熱かった。
「全く、あなたはいつも無茶をするんですからこういうときはしっかり休んでください」
寝ているので返事はなかった。あたしはなのはさんが起きたときの為にご飯の準備に取り掛かることにした。なのはさんは病人なので軽くお粥を作りベッドのほうに戻ると、
「……ティアナ?」
「すみません。起こしちゃいましたか?」
「ううん、何か目が覚めちゃっただけ。それよりも何してるの?」
「えっと、朝の訓練が終わったので様子を見にきたついでにお粥を作ってました」
「ほんと?ご飯まだだったんだ。あんまり食欲はないんだけどね」
なんて言って軽く笑ってみせるなのはさんだが熱があって辛そううなのはわかった。
「少しでも何かお腹に入れておいた方がいいですよ。それと、副隊長から聞きましたけど今日訓練に参加するつもりだったんですか?」
「だってまだまだ教えたいことが沢山あって時間が足りないくらいなんだもん」
「確かにあたしたちはまだまだですけど……」
「ううん、そうじゃないの。ティアナたちは強くなってる。でも強くなってるからこそ気をつけなければいけないことや忘れては駄目なこともたくさんあるんだよ。」
「でも、だからって自分のことももっと大切にしてくださいよ。JS事件のときに無茶してまだそのときの傷も完全に回復していないじゃないですか」
そう、なのはさんはヴィヴィオを助けるためにブラスターモードの3まで使い、かなりのダメージを負った。それなのに事件後はすぐに復帰してあたしたちへの教導を続けてくれていた。あたしたちのことを考えていくているのはとても嬉しかったが、彼女に無茶をさせてしまう自分が嫌でもあった。はやくもっと強くなりたいそう思った。それになのはさんを心配している人はあたしのほかにもたくさんいる。
「ヴィータ副隊長たちが心配してましたよ。フェイトさんだって昨日から出張でいませんけど、もしなのはさんが風邪で寝込んでることをしったら心配しますよ」
「そうだね。ヴィータちゃんたちは私が朝少し顔を出したときにすごく心配してくれたよ。フェイトちゃんもきっと心配してくれると思う。ねぇ、ティアナは心配してくれる?」
彼女はとても不安そうな表情で聞いてくる。
「何言ってるんですか。心配じゃなければ部屋に様子を見にきたり、お粥を作ったりなんてしませんよ。それにあんなことだって言いませんよ」
そう、心配だったに決まっている。今朝の訓練のときだって様子が気になり、簡単なミスをいくつもしてしまい、副隊長からきついお叱りを受けてしまった。なのはさんがしればきっとがっかりするようなことだ。
「ごめんね。心配してくれているのはわかっていたんだけど、ヴィータちゃんたちの名前がでたら聞きたくなっちゃって。やっぱりティアナにいちばん想っていてほしいから。そうだ、そのお粥ティアナに食べさせてもらいたいな」
「えっ?それって」
「そうだよ」
と言って、あーんと口をあけるなのはさん。正直、休憩時間が終わるのでほんとはお粥を作ったらベッドの側においてすぐに部屋を出るつもりだったが結局部屋を出たのはそのお粥がなくなってからだった。
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