あたしがその家の前に着いたときはすでに後少しでその日が終わってしまうという時間になっていた。
今日やっと長期任務が終わり船が港に着いたときはまだ夕暮れ時だったはずなのに、報告書の作成などをやっている内にこんな時間になってしまったようだ。
しかも本当は一昨日に終わるはずだった任務が今日まで長引いてしまったためプレゼントを用意出来ていないのだ。
それでも今日の内に彼女に会って言葉を贈りたかったから。
“ピンポーン、ピンポーン”
・
・
・
“ガチャッ”
「はーい、ってティアナ?」
「はい、こんばんはです、なのはさん」
チャイムを鳴らしたあと、そう言えば何の連絡もせずに来たのでもしかしたらすでに彼女の娘と一緒に寝てしまっているかもしれないなどと考えていたがなのはさんは思ったよりも早く出てきた。
「どうしたの?こんな時間に……」
「今日はなのはさんの誕生日だから日付が変わる前に会って直接伝えたかったんです。おめでとうございますって」
「そんなの別に違う日でも良いのに、とにかく中に入って」
「今日は夜はフェイトちゃんやはやてちゃんがパーティを開いてくれたんだ。久しぶりに皆夜が空いているからって。ヴィヴィオも入れてパーティをしたんだ。ついさっき終わって二人は帰っちゃったけどね」
「そうだったんですか」
「……何?」
「……いえ、楽しくなかったんですか?」
「……そんなまさか。楽しかったし、嬉しかったよ。ゲームしたりとか色々な話もしたしね」
それはすごい楽しかったのだろう。なのはさんたちは六課時代で知っていたが凄く仲が良い。
しかし、全員が全員同じ日に予定が空けられるような人たちではないので彼女が言ったように本当に久しぶりにそろったのだろう。
そして彼女の愛する娘も入れてパーティをしたというのなら彼女にとって楽しくなかったはずがないのだ。
ただ
「……じゃあ、どうしてあんな顔をしていたんですか?」
「あんな顔って」
「あたしがきたとき、なのはさんの顔はなんか寂しそうでした。上手く言えませんけど」
「……それはね、確かにパーティは楽しかったんだよ。楽しくないわけない。でもね、本当に一緒に過ごしたかった人はいなかったから……」
「そんな人がいるんですか?」
「うん、その子はまっすぐでちょっと不器用だけど今は自分が目指していた職業について頑張っている子なんだ。今日も任務があるってわかっていたからしょうがないって思ったんだけどね……。だからさっき玄関を開けたときはほんとにびっくりしたよ。いちばん一緒に過ごしたかった人が立ってたんだから」
「……本当ですか?ほんとうにあたしと一緒に?」
「うん、私はティアナと一緒にいたかった」
なのはさんのその言葉を聞いたとき、自然と涙がこぼれていた。
「えっ?ティアナどうしたの……?」
「いえ、貴女にこんなに思われているのにあたしプレゼントも用意出来ていなくて……。ダメですね、あたしって」
「そんなことないよ。ティアナは今日来てくれたよ。もう無理だって諦めていたから凄い嬉しかった。別の日で良いって言ったけど本当は今日が良かったから。それに私は後少しの時間をティアナと二人で過ごせたらそれでいい」
彼女のその言葉が嬉しかった。
ただ、彼女にそんな風に思われているのに何もしない自分は嫌だったので
「……なのはさん、それじゃあせめて誓いをプレゼントさせてください」
「誓い……?」
「はい、いつか必ず貴女のそばにいられるくらい強くなって貴女を護れるようになってみせます。だからその誓いを今贈らせてください」
そう言ってあたしはなのはさんに決意の誓いをプレゼントした。
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