ナノハとの模擬戦が終わったので、私とナノハは皆から離れた場所で話をしている。
「やはり貴女は強いですね、ナノハ。まさかあれほどまで差がついていようとは……」
「そんなことないよ、さっきも言ったけど星光も凄かったよ。ブラスターまで使うことになるとは思わなかったもん。それに時間の経過が違うからね……。ほら、そんなにむくれないで」
そう、言いながら頭を撫でてくるナノハ。
彼女の言っていることもわかるのだが、私としてはエルトリアでユーリたちと実践訓練を積んでいるわけでこうも簡単に負けてしまうのは……
これは向こうに戻ったらもっと訓練をしなければですね……。
「次は負けませんよ。それと、今度来るときは貴女の後輩たちとも戦ってみたいですね」
「にゃはは、じゃあ私も負けないようにもっと鍛えなくっちゃ。スバルたちにも言っておくね。今度はみんなでやろうねって」
こうして話していると何故か気持ちが抑えられなくなってくる。
もう少しで帰らなければならないと言うのにもっとナノハの側にいて彼女の笑顔を見ていたい、彼女と話をしたいと思ってしまう。
ナノハのことをもっと知りたいと。
王のための道を切り開くのが私の願いだったのにいつの間にか別の願いが出来てしまったようですね……
「ナノハ、突然で申し訳ないのですが……現在付き合っている相手はいますか?」
「えっ? ほんとにいきなりだね、別に居ないけどどうしたの?」
「では私と付き合っていただけませんか? どうやら私は貴女のことが好きなようです。知らない内に貴女に惹かれていました。最初は敵だった我々のことを認めてくれたり、ユーリを助けるために協力したりする内に。最初は貴女の強さに惹かれて私も貴女のように強くなりたいと思っているのだなと思っていたのですが、どうやらそれだけではなかったようです」
「……ごめん、悪いけど星光の気持ちは受け取れない……」
「……わかりました。……ただ、理由を教えていただいてもよろしいですか? 私のことが好きでないならそういって貰って構いませんので」
予想通りの答えだった。
もともと受け入れられるはずがないと思っていたのでショックは少ない。
ただ、私はそう答えたナノハの声が少し震えていることに気付かなかった。
「……ううん、星光のことが嫌いなんてことはないんだよ。むしろ好きって言ってもらえて嬉しかった。私も星光のことは好き。……でも好きだからこそ付き合えないんだよ……」
「……どうしてですか?」
「……どうしてって、私は星光が向こうに帰ったら記憶封鎖で忘れちゃうんだよ? だからいつか星光と付き合っているのに別の誰かと付き合ったり、極端なことを言えば結婚してしまうかもしれない……。そうならないなんて言えないよね、だから……」
ナノハはこんなときでも私のことを考えてくれていた。
確かにナノハの言うことも最もだろう。
私は向こうに戻っても覚えているが彼女は記憶封鎖でそのことも思い出せなくなるのだ。
それでも
「……確かにそうなるかもしれませんね。そのときは私は貴女を諦めましょう。それでも私が貴女を好きなことは変わりませんが……」
そういって私は向かいに座っているナノハの頭を撫でて顔を拭いてやるのだった。
