「えっ、今……何て言ったの?」
「蘭、俺は工藤新一なんだよ。今までだまっててごめんな」
コナン君と哀ちゃんに大事な話があるって言われて聞かされた内容はなかなか衝撃的なものだった。
それはそうだろう、そりゃ、何度もコナン君は新一なんじゃないかと疑ったことはあったが実際にその事実を知ると様々な疑問が出てくる。
「何があったのかとか、どうして今になって言ってくれたのか聞いても良い?私、ずっと心配してたんだよ」
「ああ、おめーが心配してくれてたのはちゃんとわかってる。ずっとおめーを近くで見てきたんだからな。ほんとに悪かった。それでな……」
新一から今までのことを全部聞いた。トロピカルランドで別れた後何があったか、そして新一が幼児化した原因の薬を哀ちゃんが作ったこと、哀ちゃんもその薬で小さくなったこと、その組織も壊滅して危険がなくなったから本当のことを話そうと思ったこと。……そして……もう元の姿には戻れないということも。
「ほんとにごめんなさい。工藤君をこんな姿にしてしまった上に元に戻せなくって。どんなに謝罪しても許されることじゃないのはわかってるわ」
「哀ちゃん……、そんな顔しないで。もともと、新一が興味本位で首をつっこんだのがいけないんだから」
「おいおい、そりゃないだろ」
新一が何か言ってるけど無視した。
本当に哀ちゃんを恨んだりはしていない。
本当のことを話してくれたし、今も泣きながら謝ってくれた。
それに新一がちゃんと生きてここにいてくれる、それだけで私は満足だった。
「それでな、蘭。もう、俺を待たないでほしいんだ。確かに俺は蘭が好きだった。でも今は違うんだ。俺が今いちばん大切なのは灰原なんだよ。これからはこいつと一緒にいたいんだ」
新一はそう言った。
それは私にはすでにわかっていたことだった。最近の二人の様子を見れば一目瞭然だったから。
「……もう決めたことなんだよね。別に私たち付き合ってたわけじゃないんだからそんなことわざわざ言わなくてもいいのに。それにね、私も言ってなかったけど新一じゃない好きな人ができたんだよ」
そうしてコナン君に聞こえないくらいの声で哀ちゃんにこう言った。
「おめでとう。でも、私も本気でいくから油断してると奪っちゃうよ」
そう、私はいつの間にか新一じゃなくてコナン君を好きになっていたようだ。
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