「……全く、何で私がそんなことしなくてはいけないの?」
「まあまあ、そんなこと言わずに頼むよ、ほむら」
「良いわ、やってあげる。けど、一つ貸しよ」
「良いけどあんまり杏子ちゃんに変なことしちゃダメだよ」
「ありがとう、まどか。それとあたしが杏子に変なことするわけないじゃん」
「……さやかちゃん、顔がにやけてるよ……」
「はぁ、良くそんなこと考えるわね。良いわ、やってあげる。私もこういうイベント好きだし……」
「マミさん、ありがとうございます」
……フッフッフ、これで準備はOKよ。
待ってなさい、杏子。
あぁ、明日が楽しみだわ……。
「杏子ちゃん、トリックオアトリート」
「Trick or Treatよ、佐倉杏子」
「佐倉さん、トリックオアトリート。お菓子をくれなきゃいたずらするわよ」
あたしは今は、猫耳やら何やらで仮装したマミ、ほむら、まどかに囲まれている。
今日はハロウィンだし、何がしたいのかはわかるので持っていたお菓子を3人に渡した。
それにしても、マミやまどかはわかるにしてもほむらがこういうことをしてくるとは意外だった。
こういうイベントをくだらない、っと切り捨てそうなものだが。
にしても、さやかがいないな……。
まぁ、いなくてもいいんだけど。
何故なら、あたしは今さやかの家に向かっている途中なのだ。
そして、さやかにイタズラをしてやる計画なのだ。
「さやかぁ、トリックオアトリート、お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」
「はいはい、これ」
「えっ?」
「何よ、お菓子あげるんだからこれで良いでしょ?」
あたしの家に来た杏子はあたしがお菓子を用意していたのが意外だったのかキョトンとしている。
そして、これじゃあ、さやかにイタズラできないじゃねぇかとか言っている。
そんな杏子を見ながらあたしは、用意してあった帽子にマント、杖という衣装を着て
「杏子、トリックオアトリート」
と悪魔の言葉を口にした。
「杏子、トリックオアトリート」
さやかがそういって近づいてきた。
さやかにイタズラする計画は狂ってしまったがあたしがお菓子を用意してないなんてことあるわけないじゃん、そう思ってポケットに手を入れたが、もうお菓子は残っていなかった。
どうやら、此処に来る間に食べたのとあいつらにあげた分で持っていたお菓子は全てなくなってしまったようだった。
杏子はポケットを探っていたが次第に焦りはじめた。
どうやらお菓子がなかったらしい。
あたしはそれを見て密かに笑みを浮かべた。
計画通り。
そう、この為に3人に頼んで杏子からお菓子を奪ってもらったのだ。
全ては杏子にイタズラするために計画していたことだった。
あたしって、マジ策士。
「杏子、お菓子がないみたいだからイタズラさせてもらうわよ」
「……ちょっと、待て。確か「チュッ」」
まだポケットを探って何か言おうとした杏子の口を問答無用でふさいだのだった。
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