「ねぇ、真姫ちゃん。 真姫ちゃんは穂乃果ちゃんと付き合ってるんだよね?」
お昼休みに凛と花陽と一緒にお昼を食べていたら凛が唐突にそんなことを聞いてきた。
「 いきなり何言い出すのよ。……そりゃ私と穂乃果は付き合ってるけど、それが何?」
そう、私と穂乃果は一ヶ月ほど前から付き合っている。放課後の練習が終わった後に穂乃果から告白されたのだ。私達が付き合ってることはμ'sの皆には報告してあるので皆知ってるはずなんだけれど、何で凛はこんなこと聞いてくるのかしら?
「いや、何か二人が付き合ってるように感じないからさぁ? だってお昼はほとんど凛たちと食べてるし、穂乃果ちゃんから真姫ちゃんへのスキンシップはあっても真姫ちゃんから穂乃果ちゃんにはほとんどないでしょ。これじゃあ、付き合う前と変わってないかなぁって? これで付き合ってるって言われても信じられないにゃ〜」
「何言ってるのよ? そんなことな……」
言われたことを否定しようとしたけど、言われてみればそうかもしれない。
穂乃果から抱きついてくることはあっても私は恥ずかしくて拒んでしまったり、偶に一緒に帰るときやデートのときも腕を組んでくるのは穂乃果からだし……。
確かに私からっていうのはないかも。
「もう、凛ちゃん。そんなこと言っちゃダメだよ。真姫ちゃんたちだって付き合い始めたばかりなんだから」
「……でも、もう報告を受けてからひと月くらい経つよ。今の二人を見てたら凛たちにもまだチャンスはあるのかなぁって思えるんだよね。正直、かよちんだってそうおもうでしょ?」
「えっ? ……そんなことないよ? 穂乃果ちゃんは真姫ちゃんと付き合ってるわけだし?」
凛の言葉を否定しようとする花陽だけど、最後の方はどんどん弱くなっていって凛と同じような考えなのがわかった。
この二人に限らずことりや海未もまだ穂乃果のことを諦めていないようなのだ。
穂乃果は私の恋人なんだから。
「穂乃果一緒に帰りましょう?」
「あっ、真姫ちゃん帰ろ、帰ろ。えへへ、真姫ちゃんと二人で帰るの久しぶりだね、最近は練習の後も海未ちゃんとかと帰ってたから」
練習が終わった後、穂乃果と一緒に帰ることにする。
絵里や凛が羨ましそうに見ている。
ここからが大切なのよ、ここからが。
いつもは穂乃果から腕を絡めて来るのだけど、今日は私から腕を組んでやるんだから。
「穂乃果、ちょっと寄って行きたい場所があるんだけど、良い?」
「良いけど、何処に寄るの?」
「それは行ってからのお楽しみよ」
そう言って穂乃果と腕を組む私。
いざ自分からってなるとされるよりも恥ずかしいわね……。
穂乃果は一瞬びっくりしながらも嬉しそうに笑ってくれた。
近くにいる皆にもアピールできたかしら。
私は今、真っ赤になってるんだろうなぁと自覚しながら穂乃果と部室を後にしたのだった。
「お帰りなさいませ、ご主人様……、穂乃果ちゃんと真姫ちゃんかぁ。どうしたの? 二人で」
「真姫ちゃんが寄りたいところがあるって言ってさ。でもどうしてここに来たの?」
「……ちょっとお茶でも飲みたい気分だったのよ」
そう、私が穂乃果を連れてきたのはことりがバイトしているメイド喫茶だった。今日はことりがバイトで練習に出てこなかったので行くなら今日だと思ったのだ。
「真姫ちゃん、本当に大丈夫?」
「……大丈夫よ、自分で頼んだんだから。やるったら、やるのよ」
私が頼んだのはカップルジュースだった。
注文したジュースを運んで来て興味津々でこちらを見ていることりに私たちの恋人ぶりを見せ付けてやるんだから。
「……真姫ちゃん、あんまり無理しなくて良いんだよ。そりゃ真姫ちゃんから今日みたいな事してくれるのは嬉しいけど、何か今日の真姫ちゃん無理してるみたいで。真姫ちゃんには真姫ちゃんのペースがあるんだから。私は真姫ちゃんが自然にそういうことが出来るまで待つつもりだよ」
私はそんな真姫ちゃんが好きなんだから。
穂乃果がそう言ってくれたことが嬉しかった。
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