「でね、今日は凛ちゃんが……で、絵里ちゃんが……」
最近のお姉ちゃんはアイ活の話ばかりしている。
そりゃ、μ'sの活動が楽しいのはわかるけどもっと私のことを見てくれてもいいのに……。
「もうわかったってば。毎日、毎日話さなくったって。それよりもお姉ちゃん、また夜中にお菓子食べたでしょ。この前海未ちゃんにあんなに言われてダイエットしたのに、そんなことしてたらまた言われちゃうよ? お姉ちゃんはリーダーなんだからもっとしっかりしないと。ファンの子だって普段のお姉ちゃんを見たらどう思うか」
「うっ? なんで雪穂がそれを? でも大丈夫だよ、今度は食べ過ぎないように気をつけてるし……」
「だからそれがダメなんだって」
これはまた海未ちゃんに報告した方がいいかもしれない。
今だって一瞬しまったって顔をした後、へらへらだらしなく笑って私の言ったことを聞いているんだかどうかわからなし。
こんなんで良くμ'sのリーダーや生徒会長が務まってるなぁ。
まぁ、でも普段はだらしなくてもやるときはやるのがお姉ちゃんだし。
ライブのときのお姉ちゃんはカッコいいと思う。
普段のお姉ちゃんを知っている私でもそう思う……いや、知っているからこそライブでの姿により惹かれるのかもしれない。
普段とのギャップに惹かれてるのかも。
普段は私の方がしっかりしてるって言われるのに。
「雪穂、どうしたの? 何か考えてるみたいだけど……」
尋ねてくるお姉ちゃんは優しい表情で私がお姉ちゃんを独り占めしたいと考えているとは全く思っていないようだった。
そりゃ、妹が姉と付き合いたいと思ってるなんて普通はわからないよね。
「……大丈夫、大丈夫。ただボォーっとしちゃっただけだから……」
「そう? それなら良いけど、もし何か悩み事とかあったら教えてね。私は雪穂のお姉ちゃんなんだから。そうだ、今日は一緒にお風呂入って一緒に寝ようか?」
「……えっ?」
「もう雪穂ってば、あんなに緊張しなくても良かったのに、前はよく一緒に入ってたじゃん」
お風呂から出て髪を乾かしながらそんなことを言ってくる。
だって、あのお姉ちゃんと一緒にお風呂だよ、あのお姉ちゃんの裸を間近で見られたし、背中の流しっこをしたときのお姉ちゃんの肌は綺麗だったなぁ。
「じゃあ、もう寝ようか? ほら、おいで?」
そう言って私を抱きしめて目を閉じるお姉ちゃん。
……あぁ、今日私眠れるのかなぁ……。
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