私は今度の新曲の打ち合わせで海未と一緒に穂乃果の家にきていた。
「新曲の歌詞ですが、こんな感じでどうでしょうか?」
「私はいいと思うわよ。じゃあ、この歌詞にあった曲を考えてみるわ」
「うん、穂乃果もいいと思うな。やっぱり海未ちゃんは凄いね」
なんていいながら穂乃果は海未に抱きついてる。
海未は海未でやめてください、何て口では言っているが顔を赤くしてそこまで抵抗していないのだからきっと嬉しいのだろう。
穂乃果は誰とでも良くスキンシップをとっているがその中でも海未やことりはその回数が多いと私は思っている。
さすがは穂乃果の幼なじみといったところかしら。
「真姫ちゃん、どうしたの?」
「……別にどうもしないわよ」
まぁ、穂乃果からしたらいつもと変わらない行動をして急に私の機嫌が悪くなったら戸惑っているんでしょうけど、恋人の前で他の人に抱きつくのはやめてほしい。
海未はそんな私に気づいたのか
「……そういえば、私たちが来る前に何か見ていたのですか?」
「あぁ、昔のアルバムだよ。なつかしくてさぁ。あっ、みんなで見てみようか」
「これ、運動会のときの。海未ちゃん走るの速くてかっこよかったなぁ」
「こっちは修学旅行の写真ですね。穂乃果は朝、遅刻しそうになったんですよね」
「もう、そんなこと覚えてなくてもいいじゃん」
二人でアルバムを見ながら盛り上がっている。
私は写真を見て話を聞きながら相槌をうつなどの簡単な反応しか返せないでいた。
アルバムを見ていると私の知らない穂乃果を知ることができてうれしいのだけど……二人は幼なじみなのだから写真に一緒に写っていたてもおかしくないし、思い出話に華がさくのもわかるんだけど……何か海未に、どうですか?私は貴女の知らない穂乃果を沢山しっているのですよ、って言われてる気がしてしまう。
「……私帰るわ」
ただそう言って私は穂乃果の家を後にした。
穂乃果や海未が何か言っているが良く聞こえなかった。
「……何やってるのよ、私は」
公園のベンチに座り、暫く頭を冷やしていたらだんだん冷静なってきた。
普通に考えれば海未がそんなこと考えてるわけないじゃない。
それなのに勝手に家を飛び出したりして……。
「はぁ……真姫ちゃん、こんなところにいた。どうしたの、急に出ていっちゃったりして」
「ねぇ、穂乃果……穂乃果は私より海未の方が良いの?」
冷静になったはずが穂乃果が追いかけてきたのでそんなことをきいてしまった。
「海未ちゃんはのことは好きだよ。でもそれは親友としてだよ。海未ちゃんかっこいいし、頭もいいし、私はいつも助けられてる。でも真姫ちゃんに対する好きとは違うよ。どっちの方が好きとか大切とか決められないよ」
あぁ、この人はこういう人なんだなって改めて思った。
でもこれがこの人のいいところなんだって。
「……私たち恋人同士よね?」
どうしてそんなことを今更聞くのだろうという顔をしながら頷く穂乃果の唇に不意打ちぎみにキスをした。
「ま、ま、ま、真姫ちゃん、いきなりどうしたの?」
私の突然の行動に真っ赤になって慌てる穂乃果。
彼女のこんな表情を見れるのは私だけだと思うと何か嬉しくなってくる。
「穂乃果、明日デートしましょうか」
私たちの思い出はこれから作っていけばいいのだから。
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