海未が弓道部、ことりがバイト、絵里と希は生徒会の会議があるということで今日は放課後の練習がなしになったので私は新曲の作曲も兼ねて音楽室に来ていた。
家でも作曲はできるけどここでピアノを弾いていると
「やっぱり真姫ちゃんはピアノ上手だね」
穂乃果がこうして来てくれる気がしたから。
穂乃果と初めて出会ったのもここでピアノを弾いているときで、今ではあのときでは考えられなかった想いを彼女に抱いている。
「……全く、何か用なの?」
「別に用はないけど、ここに来ると真姫ちゃんに会える気がしたから。真姫ちゃんのピアノが聞きたいなぁって。強いてあげるとすれば真姫ちゃんと一緒にいたいなって」
「……何それ。勝手にすれば?」
穂乃果は無自覚に人の心に入ってくる。
今も私の期待していた言葉を掛けてくれた、それが嬉しくて。
でも素直になれない私は素っ気ない態度をとってしまう。
酷いよ、真姫ちゃんなんて言いながらも軽く笑っているから、きっと彼女も私がどんな態度をとるかわかっていたんだと思う。
穂乃果が笑いかけてくれると嬉しくて、もっと笑ってほしいと思う。
もっと言えばその笑顔をもっと私に……私だけに向けてほしいのに。
でも、それは叶わないことで。
穂乃果はμ'sの太陽みたいな存在だから。
……それでもいつかきっと……。
「せっかくだから、何かリクエストあるかしら?」
「えっ、良いの? だったらあれが良いな。私と真姫ちゃんが初めて出会ったときに弾いていたらあの曲が」
PR