最近、穂乃果の様子がおかしい。
どういうことかと言うと、穂乃果は私にだけ抱きついてこないのだ。
つい一週間前までは私が嫌がっても抱きついてきたくせに……。
ほんとは嬉しかったのに、嫌な振りをしていたのが悪かったのかしら?
でもにこちゃんにはやめろと言われても構わず抱きついているし、ここのところ穂乃果とは簡単な会話を交わしただけに思える。
私は穂乃果に嫌われてしまったのだろうか。
「真姫、最近調子がわるいのですか? 今日もらしくないミスをしていたようですが」
「そうよ、それに練習中もずっと穂乃果のこと見ていたみたいだし」
放課後の練習が終わり他のみんなが帰り、私と海未と絵里の三人になったところで二人がそう話しかけてきた。
「何よ、別にそんなことないわよ。ちょっと失敗しちゃっただけよ。それに私は穂乃果の方なんて見てないわ」
「……はぁっ、貴女それ本気で言っているの? 貴女たちの様子がおかしいのなんて他のみんなも気づいているわよ」
どうやら二人が代表として話を聞きにようね。
「なるほど、穂乃果が自分にだけ抱きついて来なくなって寂しくなってしまったと言うことですか」
「確かに穂乃果は近頃真姫に抱きついてないなとはおもっていたけれど。……それにしても真姫、貴女ほんとに穂乃果のこと好きなのね。」
私の話を聞き終わった二人がそんなことを言った。
絵里が最後に全てわかっているわよ、という顔でそう言って海未もうんうん、と頷いている。
何でわかったのかしら、私は穂乃果のことが好きだ……友達としてではなく恋愛的な意味で。
ただ、恥ずかしくて否定しようとしたら
「あっ、真姫が穂乃果のことを好きだということは穂乃果以外のメンバー全員が気づいていますよ」
「そうね、それにしても……二人とも不器用というか何というか」
「そうですね、穂乃果は意外でしたが」
二人が訳のわからない会話をした後
「真姫、最近のことは気にしないで大丈夫ですよ」
海未にそう言われてその日は解散となった。
「真姫ちゃん、私は真姫ちゃんのことが好きです。私と付き合ってください」
私は今、穂乃果から告白されている。
いきなりのことで私が何も反応できないでいたら
「最近真姫ちゃんのことが好きなんだって気付いたの。でも私たち女の子同士だから真姫ちゃんに気持ち悪がられるんじゃないかって、嫌われるんじゃないかって思ったら上手く真姫ちゃんと話せなくってね。それに自分の気持ちに気づいたら真姫ちゃんと話そうとしたら緊張もしちゃって」
そうだったんだ。
穂乃果も私と同じ気持ちだったんだ。
「ごめんね、いきなりこんなこと言って。真姫ちゃん困っちゃうよね。だからこのことは忘れ「私も穂乃果のことが好きよ」」
私の返事がないことを悪いほうに受け止めて勝手に終わらせようとしている穂乃果。
そんな彼女の言葉を途中で遮り、自分の気持ちを伝えた。
「えっ? 真姫ちゃん今なんて言ったの?」
「だから、私も穂乃果貴女のことが好きって言ったのよ」
そう言うと穂乃果が抱きついてきた。
「嬉しい、嬉しいよ、真姫ちゃん」
久しぶりの穂乃果の温もりを感じながら私たちはキスを交わした。
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