「……ここは……海鳴市でしょうか?」
私はエルトリアで実験していたはずなのですが……。
王たちが心配していないといいのですが。
帰る手段がわかるまで少しぶらぶらしてみますか。
あの後、私は海鳴の商店街を見ているのですが
「バレンタイン?」
色々なお店でバレンタインフェアというものがやっていました。
バレンタインとは一体なんなのでしょうか?
そんなことを考えていると
「……星光?」
「フェイトとはやてですか」
「ホントや、星光やないか」
「どうしたの? 何で此処に」
「エルトリアで実験をしていたら此処にとばされてしまったのです。王やアミタたちが帰り方を探ってくれていると思うのですが……。それはそうと……」
成る程、フェイトたちからバレンタインがどのようなものか聞いて把握しました。
現在は好きな人やお世話になった人などにチョコレート渡して好意や感謝を伝えたりする日のようですね。
「そうや、星光。この日にこっちに来たのも何かの縁や。どうせなら王様やユーリたちにチョコレート持っていったらどうや? 今は昼前やから作る時間はまだあると思うし」
「そうだね、それが良いよ、せっかくなんだし」
そうですね、こっちで何か目的があるわけではないですし、いい機会ですね。
しかし、
「ですが、私はお金などもってませんし、買うことはできないでしょう」
「なんや、そんなこと大丈夫やよ。材料とかは私たちが何とかしたる」
私ははやての家のキッチンを借り、チョコレートを作りました。
王、レヴィ、ユーリの分、アミタ、キリエ、博士の分、さらに
「お世話になりました、あのときのお礼も兼ねて貴女方にも作りました、どうか受け取ってもらえると嬉しいのですが。まぁ、元々貴女方が用意した材料でつくったものですが……」
「いや、こういうのは気持ちが大切なんやよ。喜んで受け取らせてもらうわ。ありがとうな」
「私も。ありがとう、星光」
二人にチョコレート渡し終えたところで何とかアミタたちから戻し方がわかったと連絡がきました。
「どうやらお別れみたいだね」
「そのようですね、本当にお世話になりました。すみません、最後に一つ聞きたいのですが」
ここのようですね。
私は今、教えてもらったナノハの家の前にいます。
エルトリアに戻る前にナノハにチョコレートを渡しに来たのです。
“ピンポーン、ピンポーン”
呼び鈴を鳴らしてしばらくすると
「はーい、どちら様ですか?」
ナノハが出てきました。
「お久しぶりですね、ナノハ」
「えーと、……星光、久しぶり。元気だった? どうしてこっちに?」
ナノハはびっくりしたような顔をして私に聞いてきました。
私は彼女に今までの経緯を説明し、
「こちらでは今日はバレンタインという日だとフェイトとはやてに聞きましたので貴女に渡しに来たのです。あのときは色々助けてもらいましたし、私は貴女に好意を持っているようなのです。王たちに対するものともフェイトやはやてに対するものとも違うようなのですが」
「ありがとう、嬉しいよ。でも私は何も用意してないよ……」
ナノハは少し落ち込んだ表情をして何か考えた後、彼女の髪の毛を結んでいるリボンを一つほどくと私の頭に結びました。

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